私が経験した外国出願補助金の申請

中小企業の知財にいたときは、補助金の申請も数多く経験しました。

特許や商標の知的財産に関係する補助金はいくつもありますが、
この時期は、「中小企業等外国出願支援事業」、いわゆる「外国出願補助金」が、
全国各地で公募されているのではないでしょうか。

この補助金は、中小企業を対象として、外国出願に要する費用を補助してくれるもので、
補助率は50%、すなわち、費用の半分を補助してくれます。

補助額の上限額特許150万円
実用新案・意匠・商標60万円となっています。

中小企業の知財担当者のときには、特許でこの補助金を3回申請して3回とも採択されました。
しかし、毎回、申請に苦労した記憶があります。苦労したのは、主に以下の2点、
・申請時に添付する見積書の作成
・申請時に提出する事業計画書の作成

見積書に関して、
申請時の見積もり額を超過した部分は補助を受けられないはずですので、注意が必要です。
また、数字はかなり正確なものを要求されます。
よって、翻訳費用などは、明細書の記載量で変動するので、特に注意が必要です。

しかし、見積額なんかは、出願を依頼する特許事務所にお任せしてしまえば、
それほど苦労することはないと思います。
苦労するのは、見積書の根拠に関して、現地代理人の料金表や見積もりが必要になるので、
これを集めて、添付するのに苦労しました。
出願する国によっては、現地代理人の対応が遅く
申請直前まで資料を揃えられなかったこともありました。
通常の補助金申請よりも余裕をもって添付資料を準備することをお勧めします。

事業計画書に関して、
事業計画書の内容により採択の当否が決まるので、
採択されやすい内容で作成しなければなりません。
とりあえず海外に出願したいといった内容だと、
採択を受けるのは難しいのではないかと思います。

私の場合は、出願する国ごとに事業戦略を示し
事業戦略に出願する特許がどういう意味を持つのか
わかりやすく説明するように工夫していました。例えば、
A国には、現地法人があるので・・・、独占市場の形成を目的に出願します。
B国には、提携を予定している企業があるので、・・・、その企業との提携材料として出願します。
C国には、販売チャネルが現在はないので、・・・チャネルを見つける手段として出願します。
といった感じで説明していました。

事業計画書をキッチリ作ろうとすると、1週間ぐらいかかったと思います。
補助金の申請をお手伝いしてくれる特許事務所などもあると思いますが、
事業計画まで書いてくれるところは少ないかもしれません。
特許事務所にお手伝いを依頼するときは、
どこまでサポートしてくれるのかを確認しておくことをお勧めします。

何かと苦労する外国出願補助金申請ですが、
特許で最大150万円(実用新案・意匠・商標は60万円)の補助は大きいですし、
書類を作成するなかで、出願しようとする事業内容を見直すきっかけにもなるので、
いろいろとメリットのある補助金だと思います。

詳細は、以下よりご確認ください。

平成28年度中小企業知的財産活動支援事業費補助金(中小企業等外国出願支援事業)(特許庁)
http://www.jpo.go.jp/sesaku/shien_gaikokusyutugan.htm

IPUSE特許事務所でも、補助金申請をお手伝いします。
出願は、他の特許事務所に依頼される場合であっても、
補助金の申請書作成だけをサポートすることも可能です。
ご興味ありましたら、お気軽にお問合せください。

IPUSE特許事務所

この記事を書いた人

山本 英彦