「従属請求項(従属項)」って何だ?

特許の業界にいると「従属請求項」という言葉を普通に使います。
以前から従属項に関する記事をいくつか書いてきましたが、「そもそも「従属項」って何?」という質問を知人から受けました。

今回は従属項について弁理士の山本が説明します。

「従属請求項」の意味

「従属請求項」とは、他の請求項に従属する請求項のことです。
言葉を分解しただけなので、これだけだと意味がわからないと思いますので、具体例で説明していきます。

従属項を使った記載方法(例1)

【請求項1】→独立項
a部材とb部材を備える装置X。
→X(1)=a+b

【請求項2】→従属項
c部材を備える、請求項1に記載の装置X。
→X(2)=a+b+c
(「請求項1に記載の」とあるので、請求項1の「a+b」が含まれます。)

このように「請求項〇に記載の~」のような【請求項】を【請求項〇】に従属しているといいます。また、権利範囲を考えたとき、従属する請求項は、従属先の請求項に包含されます。
したがって、以下のような場合を【請求項2】は独立項の【請求項1】に従属しているといい、権利範囲を考えたとき【請求項2】は【請求項1】に包含されます。

権利範囲を図示すると以下のようなイメージになります。
従属項説明図1

※構成要件が増えると権利範囲が狭くなります。
【請求項2】は【請求項1】から「c部材」が増えているので【請求項1】より権利範囲が狭くなります。

従属項を使わない記載方法(例2)

【請求項1´】
a部材とb部材を備える装置X。
→X(1)=a+b

【請求項2´】
a部材とb部材とc部材を備える装置X。
→X(2)=a+b+c

このように「請求項〇に記載の~」の記載がない場合、それぞれが独立項になります。
ちなみに、例1と例2は同じ権利範囲(同じ意味)になります。
すなわち、従属項というのは、独立項に書き換えることができます。

例2の権利範囲を示すと、当然、例1と同じになります。
従属項説明図1

従属項を使った記載方法の発展形(マルチクレーム)

【請求項1】→独立項
o部材を備える装置Y。
→Y(1)=o

【請求項2】→従属項
p部材を備える、請求項1に記載の装置Y。
→Y(2)=o+p

【請求項3】→従属項
q部材を備える、請求項1また請求項2に記載の装置Y。
→Y(3-1)=o+q(「請求項1に記載の」に対応)
→Y(3-2)=o+p+q(「請求項2に記載の」に対応)

「請求項1また請求項2に記載の~」のような記載のある【請求項3】は複数の意味を持ちます。
すなわち、【請求項1】に従属するY(3-1)と【請求項2】に従属するY(3-2)です。
このような請求項を「マルチクレーム」ということもあります。

【請求項4】→従属項
r部材を備える、請求項1~3のずれか一項に記載の装置Y。
→Y(4-1)=o+r(「請求項1」に従属)
→Y(4-2)=o+p+r(「請求項2」に従属)
→Y(4-3-1)=o+q+r(「請求項1に従属した請求項3」に従属)
→Y(4-3-2)=o+p+q+r(「請求項2に従属した請求項3」に従属)

この辺なってくるとややこしくなりますが、分解するとこのようになります。
このような請求項を「マルチのマルチクレーム」ということもあります。

権利範囲を図示すると以下のようになります。
従属項説明図2※下位の請求項ほど権利範囲が狭くなります。

余談ですが、本記事のTOP画像では、桃太郎が【請求項1】の独立項で、犬、猿、雉が、それぞれ、【請求項2】、【請求項3】、【請求項4】の従属項のイメージです。

従属項を考える際のポイント

・従属項は独立項で書き換えることができる。
・従属項は、権利範囲について従属先の請求項に包含される(従属先の請求項より狭くなる)。

これらを踏まえて、以下の記事を読んでもらい、従属項について理解を深めてもらえれば幸いです。
明細書チェック時に役立つ、従属請求項(従属項)の考え方
経営者・知財担当者なら知っておきたい【独立請求項(独立項)と従属請求項(従属項)の関係】

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