知的財産(知財活動)の見える化

知財活動の成果を認めてもらうのって難しいですよね。
特許を活用して中小企業の利益を守る、中小企業専門の特許活用サポータ 弁理士の山本です。

そもそも、知的財産はその昔、無体財産と呼ばれていたぐらいですから、
無体形(体)が無い目に見えないということで、知的財産は見えないものです。
当然、その成果も見えにくいに決まっています。

しかし、知財活動の成果を認めてもらえないと、知財の意識が経営層や社内に浸透しません。
逆に言うと、知財活動の成果を経営層や社内で認めてもらえれば、知財の意識は浸透します
私の中小企業の知財担当者時代も知財活動の成果がわかれば社内での地位も上がり
知財の意識が経営層も含む会社全体に広がっていきました。

知財担当者の一番の仕事は、知財活動の成果を認めてもらうことかもしれません。
そのために私がやっていたことは、知財活動の見える化(数値化)です。

具体的には、
(1)特許事務所への支払いの明確化
(2)特許の維持管理費(特許庁への費用)の明確化
(3)知財部員の作業時間の明確化
(4)特許関連製品の事業計画の明確化
(5)維持特許の自社製品利用の明確化

などがあります。

(1)→(5)ほど、難易度が高く作業時間がかかります
したがって、上から順に、できるところから手を付けていけばよいと思います。
特に、(1)と(2)は同時に、かつ、お手軽にできるので、真っ先にやってもらいです。
(※年間の出願件数が1以上ある企業なら、数値化する意味はあると思われます。)

(1)と(2)作業は簡単、エクセルを開いて、
まず、縦軸に費用の発生する6つの項目(費用項目)をあげます。
①出願時 ②審査請求時 ③中間処理時 ④登録時 ⑤年金支払時 ⑥その他

このとき、各項目を2段に分け、代理人費用と特許庁費用に分けておくと、
後々、使いやすいデータになります。

つぎに、横軸には年度をとり、あとは、縦と横のクロスする部分に、
年度ごとの請求額(請求書)を振り分けていきます。

これで、特許関連費用の年次変化が一目でわかりる特許経費テーブルが完成します。
特許経費テーブル、当たり前につくれる表のようですが、ポイントは6つの費用項目です。
この費用項目が決められないと、表を作るのが少し億劫になります。

費用項目を細かくすれば、費用の詳細な内容がわかると思いますが、表の作成が煩雑になります。
私の経験では、上記の6つにわけておけば、データとして十分活用できます。
また、特許事務所からの請求書も上記の6つの項目ごとに送られてくるはずです。
よって、この特許経費テーブルの作成は、非常に簡単だと思います。

なお、①~⑤の費用以外は、なんでも⑥その他に入れてしまえばいいので、
作業がより簡単になっています。
また、費用は①~⑤が大部分を占めるはずですので、⑥が大きくなることはあまりありません。
よって、なんでも⑥その他で処理しても、数字的にも問題が生じることはほとんどありません

特許経費テーブルができれば、明確化という課題は達成されたわけですが、
これを上司に報告して、初めて、知財活動の見える化になります。
(※見せる相手がいなければ見える化の意味がありません。)
上司への報告については、また今度書きます。

通常の業務が忙しいと、なかなか手を付けられない知財活動の見える化ですが、
やり方さえわかれば、意外に簡単にできるものです。

IPUSEでは、このような知財活動のノウハウをお伝えする
【知財担当者レベルアップカウンセル】をサービスとして提供しています。
ご興味をお持ちいただければ、お気軽にお問合せください

また、【知財担当者レベルアップカウンセル】
特許出願+1での提供サービスにもなっております。
弊所で初めて特許出願のご依頼をいただいた場合に、無料でサービスを提供させていただきます。
こちらも合わせてご検討ください。

この記事を書いた人

山本 英彦