2016年7月25日:サムスン、ファーウェイを特許侵害で提訴

知財関連ニュース:2016年7月25日:サムスン、ファーウェイを特許侵害で提訴

知財関連のニュースから、知ったかぶれる知財の知識を教えます。

サムスン、ファーウェイを特許侵害で提訴 (Reuters)
http://japan.cnet.com/news/business/35086354/

この記事から3つのポイントを説明します。

1.特許侵害は1件ごとに判断
2.特許は国ごと、でも勝敗や戦略は世界的に
3.知財訴訟を扱う裁判所

1.特許侵害は1件ごとに判断

サムスンは、各国で数千~数万件の特許を取得しています。これら特許は様々な分野にわたりますが、特に、スマートフォン・スマートテレビ・メモリー分野に集中していると聞きます。これだけ数があれば、スマートフォンを作ると、何かしらの特許侵害してしまうことになると思います。

それら膨大な件数の特許のうち、今回の事件では6件が訴訟の対象になったわけです。膨大な数の特許があって、複数の特許について裁判となると、まとめて判断してしまう感覚になりますが、「6件も怪しい特許があるから侵害だ!」とはならず、1件ずつ確実に侵害を判断されることになります。

この侵害の判断は、訴えた側、訴えられた側がそれぞれ反論を繰り返し行われ、相当数の証拠の提出などもあり、1件の侵害判断だけでも、費用、時間の面から、双方ともかなりの負担となります。それが6件もあるとなると、大変な裁判になることが予想されます。

また、6件のうち、1件でも侵害となると、差止請求や損害賠償請求の対象になるので(「特許を侵害されたら【差止請求】と【損害賠償請求】」をご参照ください。)、ファーウエイは、該当製品を製造販売できない状態にもなりかねません。このことから、複数の特許で製品を守る意味がよくわかると思います。

2.特許は国ごと、でも勝敗や戦略は世界的に

サムスンが本件の提訴をする前に、ファーウエイは米国でサムスンを特許侵害で提訴していたようです。(中国・ファーウェイがサムスンをスマホ特許侵害で提訴 (Record China)をご参照ください。)本件は、その米国訴訟に対抗して、サムスンがファーウエイを訴えたことになります。

特許訴訟は、国ごとに判断されますので(「「属地主義」という言葉しってますか?」をご参照ください)、米国での特許侵害訴訟は、中国での訴訟の勝敗に影響はしません。

しかし、先に説明したように、裁判が多大な負担となることがわかれば、例えば、サムスンは米国の訴訟を取り下げることを条件に、中国の訴訟を取り下げるような交渉ができます。サムスンとしては、中国市場に興味がなかったとしても中国に特許を持っていることで、米国市場の障害(提訴)を排除できるわけです。

このような話は、世界各国に市場や特許を持っている大企業の話かもしれませんが、世界的(少なくとも自分の市場がある複数の国)な視点で特許戦略を立てることは、中小企業であっても重要です。例えば、自社販売は日本だけでも、外国の特許を取得しておき、その国の企業にライセンスして、製品を販売するような戦略は中小企業の海外展開の方法として一般的です。

3.知財訴訟を扱う裁判所

この事件では、サムスンは北京の知識産権法院(知財裁判専門の裁判所で、日本の地方裁判所に相当するみたいです。)に訴えを提起したようです。中国には北京、上海、広州の3カ所に知識産法院があり、案件の内容や性質に応じて、管轄する事件が異なります。

また、知識産権法院の判断に納得いかない場合は、高級人民法院に控訴できます。

日本では、特許裁判は、第1審が東京地裁か大阪地裁になります。裁判管轄は案件の内容(請求の内容)に応じて決まりますが、多くの場合、差止請求と損害賠償請求がされますので、原告の所在地に近い方の裁判所が選ばれます。(例えば、京都の会社が訴える側なら、大阪地裁を選びます。裁判になると、月に1回位は裁判所に行くことになるので、近いに超したことはありません。)

また、地裁の判断に納得いかない場合は、知財高裁(東京)に控訴でき、さらには最高裁判所(東京)に上告できます。

今回の知ったかぶり知識

・特許侵害の争いは1件でも大変なので、複数の特許取得は意味がある
・特許活用には、世界的な戦略が必要(有効)
・日本の知財関係の裁判所は東京と大阪

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