私の経験した特許侵害訴訟(書面提出期日)

中小企業の知財にいたときは、特許侵害訴訟も経験しました。

侵害訴訟は、以下に示すように、原告の訴状提出、被告の答弁書提出、口頭弁論と進み、
その後は、準備書類のやり取りが原告と被告で交互に複数回行われ、進行します。

訴状(原告)→答弁書(被告)→口頭弁論→準備書面1(被告)→弁論準備手続→準備書面2(原告)→弁論準備手続→準備書面3(被告)→弁論準備手続→準備書面4(原告)→、、、、→技術説明会→心証開示

準備書面は、その直前の弁論準備手続(原告、被告、裁判官がそろって話し合い)の際に、
裁判官の調整により提出期日を決められます
しかし、この提出期日は1日、2日過ぎてしまっても
特にペナルティ(裁判官の心証が悪くなること)などはなく
私の感覚では、かなりいい加減なように感じました。

弁理士は、期日(期間)の管理にかなり気を使っています
これは、特許庁(行政)を相手に業務をすることが多いためだと思います。
特許庁の期限で、法定期間(審査請求の期限など)は絶対守らないといけませんし、
指定期間(拒絶理由の応答期限)も延長が認められる場面をあまり見たことがありませんでした。
なお、2016年4月から拒絶理由の応答期限は、請求すれば合理的な理由がなくても
延長が認められるようになったようです。

訴訟に関与していたときは、企業の立場ではありましたが、弁理士のはしくれでもあったので、
準備書面の提出期限特許庁の対応と同じ感覚で構えていました。
しかし、こちら側の弁護士さんは準備書面提出の期限を過ぎることが複数回ありました。

初めて期間を徒過することになったときなど、弁護士さんは「大丈夫」といっていましたが、
「もしこれで負けたら、社長になんていえばいいのだ」と内心ヒヤヒヤとしていました。
しかし、期限を過ぎて準備書面を提出しても裁判官の心証が悪くなった感じはなかったので、
弁護士さんの言う通り「大丈夫」だったわけです。

期日を守るのは社会人としてのルールではありますが、あくまでも慣習上のルールで、
このルールを破っても、法的なペナルティが課せられないことがほとんどです。
特許訴訟でも準備書面の提出期日を守ることは大切ですが、期日を過ぎても許されるので、
そのことを知っておけば、訴訟を心理的に有利に進められるかもしれません。
(個人的には期日を守ることを前提に準備書面は準備すべきだと思いますが。。。)

この記事を書いた人

山本 英彦