拒絶理由の対応(中間処理)での弁理士の上手な使い方(1)

特許出願は、審査によってほとんどの場合、拒絶理由が通知され、拒絶理由に対応した後の内容で特許になるので、拒絶理由通知対応(中間処理)はとても重要です。

以前、「中間処理を弁理士に任せっきりにしてはいけない理由」について説明しましたが、弁理士を使ってはいけないわけでなく、任せっきりにせず、上手く業務を分担することで、有効な特許を取得できる可能性が高まります。

※この記事では弁理士とは、特許事務所の社外弁理士をいいます。すなわち、企業内弁理士は除きます。

弁理士との付き合い方のポイント

・弁理士からのコメントに縛られない
・弁理士に審査官(拒絶理由)の間違えを教えてあげる
・弁理士に製品の特徴を教えてあげる
・ポイントだけ伝えて、全体の方針は弁理士に考えてもらう

これらのポイントについて説明していきますが、長くなるので、分割して説明していきます。

弁理士からのコメントに縛られない

拒絶理由は、弁理士に出願を依頼した場合、出願時に代理人である、その弁理士に通知されます。拒絶理由を通知された弁理士は、拒絶理由の通知と、その対応案について、クライアントに連絡をします。この記事では、この対応案をコメントと呼びます。

通常は、このコメントに書かれた対応策を参考に拒絶理由に対応すると思います。なにせ、専門家の弁理士くれたコメントなので、それに疑問を持つのは、弁理士に失礼と考えられるかもしれません。しかし、コメントは、拒絶理由の内容や引用文献、出願の内容、弁理士の能力等により、とても良い対応策が提案される場合と、使えない対応策しか提案されない場合があります。

そのようなこともあって、コメントは参考程度に利用することをお勧めします。また、このコメントは、弁理士が明細書に基づいて、すなわち明細書に書いてある範囲内で特許を取得するために検討した結果であって、特許に係る製品の特徴に基づいて特許を取得しようとしたものではありません。

特許出願から中間処理までには、短くても半年、長いと4~5年の間隔が空きます。したがって、特許に係る製品も特許出願のときから、中間処理のときまでに改良や変更されていて、出願時の明細書に書かれた内容と違ってくる部分もあります。

よって、出願時の明細書に基づいて検討すると、製品から離れた内容で特許取得の方針の提案になってしてしまうこともあります。

弁理士は、専門家として、できるだけよい特許を、つまり権利範囲が広くて製品の内容を反映した特許を取得しようという意識はありますが、特許出願以降は、製品に関わっていないのが普通なので、製品の内容を反映したコメントの作成には限界があります。したがって、この部分をフォローするのが会社側の知財担当者の役目になります。

ちなみに、コメントは、企業側の意見が決まってから、確認程度に目を通す程度でよいと思います。もし、弁理士のコメントが企業側の意見とマッチしていれば、比較的簡単に特許が取得できることが多いと思います。

中間処理にどのくらい時間をかけるかは、知財の担当者それぞれです。あまり時間をかけれない場合は、弁理士のコメントに沿って対応案を考えれば、時間を節約できます。

しかし、それでは、意味のある特許権を取得できない場合もあり(「中間処理(拒絶理由通知対応)を弁理士に任せっきりにしてはいけない3つの理由」を参照)、時間の節約にはなっても、事業に活かせる特許になりません。それでは本末転倒だと思います。

コメントは、参考にとどめ、自分で対応案を考えるつもりで拒絶理由に対応することをお勧めします。

それでは、長くなったので、続きは後日書いていきます。
また、読んでもらえると幸いです。

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この記事を書いた人

山本 英彦