特許公報の読み方~その1~

特許を専門にしない方には難解とされる特許公報、その読み方を順を追って解説していきます。
特許を活用して中小企業の利益を守る、中小企業専門の特許活用サポータ 弁理士の山本です。

まず、特許公報とは、特許庁から発行される公報のことですが、2つあります。
①公開特許公報:出願中の特許情報を公開(特許出願から1年6カ月後に発行)
②特許掲載公報:登録された特許情報を公開(特許登録後に発行)

これら①と②の記載内容は、項目の順番などが若干異なりますが、基本的に同じなので、
この解説では①公開特許公報(以下、単に「公報」といいます。)を例に説明していきます。
なお、②特許掲載公報も項目の順番だけ気を付ければ、同じように読めます。

特許公報1枚目公報は、1枚目の上側に「書誌的事項」と呼ばれるものが記載されています。
これは、出願人や出願日などの特許の基本情報が記載されています。
基本情報なので重要な情報ですが、読解はそれほど難しくないと思います。
「優先日」など、専門用語がある場合もありますが、インターネット検索すれば、
言葉の意味はすぐ分かります。

1枚目の下側の左に【要約】が記載されています。
これは、文字どおり特許出願の要約が記載されていますが、
訳あって、少々読みにくくなっています。
特許の概略をつかめると期待して先に読むと、読む気力を奪われますので注意しましょう。

1枚目の下側の右に「代表図面」が記載されています。
これは、特許出願の内容を最も表す(と出願人が思う)図面が記載されていますが、
あくまでも特許出願人の思いですので、他に適切な図面がある場合もありますし、
1枚の図面では特許出願の内容を理解できない場合が多いです。
よって、この図面を見て、特許出願の内容を理解できるという期待は捨てましょう

2枚目の最初には、【特許請求の範囲】が記載されています。
これは、、特許出願の最重要部分ですが、難解な言葉が使われていることが多く、
いきなり読むのは苦労します

【特許請求の範囲】のあとは、【発明の詳細な説明】が記載されます。
これは、【技術分野】【背景技術】【先行技術文献】【特許文献】【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【発明の効果】【図面の簡単な説明】【発明を実施するための形態】【産業上の利用可能性】【符号の説明】に項目分けされています。
一応、前から読めるストーリー立てになっていますが、普通に前から読むと眠くなります

最後に【図面】が記載されます。公報を解読するためには、この【図面】がかなり重要になります

少し長くなったので、「特許公報の読み方~そ2~」に続きます。

特許公報の読み方~その1~のポイント
1.特許公報には、①公開特許公報と②特許掲載公報がある。
2.特許公報は、書誌的事項、要約、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、図面に分けられる。

この記事を書いた人

山本 英彦