この記事の知ったかぶりポイントは
「アメリカは特許のコスパがよい」という点です。
中小企業専門の特許活用サポータ 弁理士の山本英彦が、
ポイントを絞ってわかりやすく解説します。
米、韓国CJを調査=味の素のアミノ酸特許侵害 (jiji.com)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016061000082&g=int
以前、解説したニュース「2016年5月12日:味の素が米独で韓国企業4社を提訴 製造特許侵害で」の続報です。
前回の解説では、以下のようなことも説明しました。
アメリカにはディスカバリーという制度があり、
相手方がどのような方法で製品を製造しているか、開示を要求できます。
味の素がアメリカで提訴したのは、ディスカバリーがあることも理由の1つかもしれません。
アメリカには、ディスカバリーの他にも特許権者に有利なルールがいくつかあります。
今回の記事で、米国際貿易委員会(ITC)が韓国食品大手のCJ第一製糖を調査するというのも、
そのようなルールの1つです。
このルールは、関税法337条(不当輸入禁止)に基づくもので、
米国への輸入で不公正な行為(特許侵害など)により米国産業に被害が生じる恐れがあるときに、
輸入品の排除、不公正行為の差し止めを米国際貿易委員会(ITC)が判断し、
命令を発する権限を規定する法律です。
すなわち、行政機関であるITCが、裁判(司法)とは別に、特許侵害を調査し、
特許侵害と判断したら、その侵害製品を差止等できるというルールです。
すると、特許権者はITCの調査と裁判の2回戦えるチャンスがあるわけです。
侵害といわれた側(被告)は2回とも勝たないといけないわけですから、
特許権者にかなり有利なルールといえると思います。
このように、アメリカは特許権者に有利なルールがいくつかあり、
製品の販売市場(特許により独占できる市場)も大きいことを考えると、
特許のコスパはかなり良いといえます。
このことを前提にすると、中小企業がアメリカに進出する際に、
日本での特許戦略とは違った特許戦略が必要になってくると思います。